相続を経験したことのない方は、いざ自分が相続しなければならないとなったとき、何をどうしたら良いのかさっぱりわからないかもしれません。相続は一生のうちに何度も経験するものではありませんから、相続に詳しくなくても恥ずかしいことではありません。
しかしながら不動産の相続を何もわからない状態で進めてしまいますと、思わぬことでつまずいてしまう可能性があります。「あの時こうしていれば良かった」と後悔する前に、不動産相続全体の大まかな流れを理解しておきましょう。
こちらの記事を読み不動産相続の流れをつかんでいくことで、実際にあなたが相続手続きをする際にも落ち着いて対処することができます。不動産相続は段取りが半分以上といっても過言ではありません。ぜひ、この記事をあなたの相続の参考にしてみてください。
1. 不動産相続に関わる手続き
1. 今すぐやるべきこと
2. 早期に始めたほうがよいこと
3. 随時行うべきもの
- 遺産分割協議書の作成(相続人全員の自筆の署名と実印の押印が必要)
- その他の必要書類の取得(後述します)
1-1.相続発生!その時あなたは何をするべきなのか?
まず、あなたが相続人となる相続が発生した場合、最初にするべきことは市区町村役場へ死亡届を提出することです。被相続人が亡くなられてから7日間以内の提出が法律で義務付けられていますので、遅れることのないようにしましょう。
次に遺言書が残されているかどうかを確認しましょう。遺言書が残されている場合とそうでない場合ではこの後の手続きも変わってきます。せっかく相続手続きが終わったのに後から遺言書が見つかったような場合、非常に苦労することになりかねません。落ち着かない状況でしょうが、しっかりと確認するようにしましょう。
不動産相続の鉄則!最優先でやるべき2項目
- 死亡から7日以内に死亡届の提出(市区町村役場)
- 遺言書の有無を確認
1-2.不動産相続は、書類に始まって書類に終わる
不動産相続は死亡届や遺言書もそうですが、何をするにあたっても書類が必要になってきます。まずは誰が相続人としての権利を有しているのかを確定させるために、相続人全員の戸籍謄本を集める必要があります。
被相続人については出生から死亡までのすべての戸籍謄本が必要になりますから、転居を繰り返していたような場合は集めるのに時間が掛かる場合があります。ひとつでも書類が欠けますと相続の手続きがストップしてしまいます。時間が掛かりそうなものから集めるといった工夫が案外と後で効いてくるのです。
不動産相続で必要となる主な書類(遺言書が無い場合)
- 相続人全員の戸籍謄本(被相続人死亡日以降のもの)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人の戸籍謄本(出生時から死亡時まで一連の全ての戸籍謄本)
- 被相続人の住民票の除票(本籍の記載のあるもの)
- 遺産分割協議書
- 不動産の登記事項証明書
- 不動産を相続する相続人の住民票
- 不動産の固定資産評価証明書
上記で挙げた書類のうち、遺産分割協議書については、相続人自ら作成することもできますが、不安な場合は司法書士に依頼するのが確実です。専門的な知識のない方が相続関係書類をいきなり100点満点でそろえるのは、少し難しいかもしれません。
不動産相続の手続きのほとんどが、書類をそろえることといっても過言ではありませんので、書類さえそろってしまえば相続手続きのゴールが見えてきます。
上記の書類がすべて入手出来たら、不動産登記の変更を法務局に申請します。不動産登記には専用の申請書が必要です。主な申請書の種類や作成方法については、法務局ホームページをご確認ください。
2.相続税は?登記費用は?不動産相続にまつわる費用
2-1.相続税
不動産を相続するにあたって気になるのが相続税や、手続きにかかる費用のことでしょう。
以前は相続税の対象になるのはほんの一部の人に限られるといわれており、実際に相続税が非課税の方が大半であったのは事実です。しかし平成27年に相続税が改正され基礎控除の金額が40%も減額されていることから、相続税の申告対象の方も増えていますので注意が必要です。
改正後の相続税の基礎控除額は以下の計算式で求めることができます。
相続税の控除額の計算式
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
簡単な例でいうと、たとえば法定相続人が5人いた場合、3,000万円+(600万円×5人)=6,000万円が相続税の基礎控除額となります。改正前の計算ですと基礎控除額は1億円でしたので、ずいぶんと控除額が減ってしまっているのがわかります。
相続資産の相続税評価額の総額が基礎控除額を超える場合は、相続税の納税義務が生じます。相続税額の計算については、詳細は国税庁のホームページをご確認いただくことをお勧めいたします。
2-2.相続税以外の費用
相続税以外に必要な費用としては次のようなものが挙げられます。
不動産相続にまつわる主な費用
- 登録免許税
- 戸籍謄本等書類の取得費用や郵送費用
- 司法書士報酬(手続き代行を依頼した場合)
これらの費用の合計は相続税評価額によって大きく変わってきますが、仮に評価額が3,000万円の不動産を相続した場合、おおむね20万円を少し超える程度が目安となります。ちなみに登録免許税が発生する相続登記申請の手続きは、自分ですることもできますが、専門的な知識も必要となるため、司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士へ支払う報酬の目安は5万円前後です。
ここまでの説明で不動産相続の大まかな流れと必要書類および費用についてつかめてきたのではないでしょうか。続けて詳しく確認していきましょう。
不動産を含め相続する資産が多く、相続税が発生しそう。今から節税は可能?
依頼する税理士によって相続税の額に差が出てしまうことをご存知ですか?
お医者さんに外科・内科医・皮膚科等と専門性があるように、税理士も法人税・所得税・相続税といった専門分野で分かれています。
経験が少ないと税理士であっても相続税の申告を間違う場合もあり、本来よりも高い金額を払わなくてはいけなくなってしまう可能性もあります。
3.不動産を分割相続する4つの方法
相続人が複数いる場合遺産分割が原則となりますが、相続資産が現金であれば分割して相続するのはそれほど複雑ではありません。しかし不動産となると現金のように簡単に分けるわけにはいきませんので、なにかしらの方法を検討する必要があります。ちなみに不動産を相続人一人が単独で相続する場合はシンプルで、分割の必要がないため難しいこともありません。
不動産相続の際の遺産分割方法として主なものは
と言ったものを挙げることができます。続いて、遺産分割方を各章でご説明します。
3-1.現物分割
現物分割は、文字通り不動産を複数に分割して、それぞれを現物で相続する方法です。
土地だけの相続の場合、分割後も普通に利用可能な面積があるのであれば検討の価値はあるでしょう。ですが、もともと狭い土地では別の方法を検討するのが賢明です。
3-2.代償分割
代償分割は、一部の相続人が不動産をそのまま相続し、他の相続人に土地代を現金で支払うという方法です。
不動産を分割し難い事情がある場合や、相続人の中に不動産現物よりも現金で相続したいという方がいる場合に有効な選択肢となります。
3-3.換価分割
換価分割は、相続した不動産を売却し得られた代金を複数の相続人で分割する方法です。
不動産現物のままでは難しかった分割でも、現金化してしまえば分割するのは簡単になります。不動産の買い手が見つかったうえで、相続人全員が納得する金額で売却できることが前提となりますが、その不動産に相続人の誰かが居住するといった利用予定がないのであれば、有力な選択肢のひとつとなるでしょう。
3-4.共有
共有は、複数の相続人の共有名義のままにして不動産を相続する方法です。
相続は相続人の共有状態で相続しますので、相続人間で揉めないようであれば、このままにしておく方法もあります。ただし後になって不動産を売却する場合に共有名義人全員の同意が必要となるといった理由からトラブルの元にもなりやすいという側面もあります。
4.まとめ
不動産の相続について、その流れと必要書類、種類やチェックポイントなどについてご紹介してきました。相続を少し意識し始めたばかりの方や、実際に相続を目の当たりにされている方でも、なんとなく不動産相続のイメージがつかめたのではないでしょうか。
ここでもう一度記事の内容を振り返っておきましょう。
- 相続が発生したらまずは死亡届を提出し、遺言書の有無を確認する
- 不動産相続は用意すべき書類がたくさんある
- 税制改正で相続税課税対象者が増えていることに注意が必要である
- 相続税以外にも登記費用などが必要となる
- 不動産分割相続には主に4つの方法がある
以上のようなことを、事前にしっかりと理解しておくことで、はじめての不動産相続であっても、落ち着いて対処できるようになります。
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