まずは、大手の不動産会社の得意なことについて解説します。大手不動産会社の得意なこととして、宣伝力・ブランド力が挙げられます。
大手の不動産会社は宣伝する力が圧倒的に強いです。テレビCMや充実したホームページなどの大々的な広告はもちろん、全国展開などの規模が大きな不動産会社であれば、その分広い範囲で買主を探せます。
宣伝力があるということは物件の購入を検討している人々の目に触れる機会が多く、集客力があるということ。そのため、買主を早く見つけられる点において、大手の不動産会社が有利です。
中古物件購入を検討している人は「取引価格は適正なのか」「住宅の瑕疵はないか」「契約上でトラブルが起きたらどうしよう」など、たくさんの不安を感じています。その点、大手不動産はそれらの心配事を解消してくれる保証制度やフォロー体制を設けているため、買主も安心して契約に進めます。
次に、地元の不動産会社の得意なことについて解説しましょう。地元の不動産会社は、地域密着企業ならではの親身な対応・独自のネットワークが強みです。
地元の不動産会社は大手と比べ親身に対応してくれることが多いです。不動産の売却には大体3か月から半年ほどかかることもあるので、その間気持ちよくやり取りができる業者を選びたいもの。コミュニケーションが密であれば、大切な不動産を信頼して任せられるでしょう。
地元で何十年も営業している不動産ならではの独自の情報網を持っています。地域を限定して不動産を探している顧客がいたり、古くから付き合いのある人脈から買主を紹介されたりすることもあります。さらに地元密着だからこそ、その地域に合わせた不動産を売却するコツやノウハウを知っていることも多く、心強いでしょう。
地元の不動産会社は不動産の情報はもちろん、その不動産の周辺環境やその地域の生活しやすさなどの地元の情報にも精通していることも強みです。地域の情報をより詳細に提供できる地元の不動産会社だからこそ、買主も安心して購入できます。
大手不動産会社のデメリットとして、担当者の対応が事務的に感じられることが考えられます。大手不動産会社は一人の担当者が抱える案件が多いため、一つ一つの案件に対して時間をかけることができず、親身なコミュニケーションを取ることが難しい傾向があるようです。
また、大手不動産会社は両手仲介にこだわることがあるため、注意してください。「両手仲介」とは自社で買主と売主の両方を探し、両者から仲介手数料をもらうことです。両手仲介をすることで、不動産会社は通常の倍の仲介手数料を受け取ることができます。
両手仲介自体は法律違反ではありませんが、両手仲介にこだわって囲い込みを行う不動産会社には注意が必要です。「囲い込み」とは、不動産情報を不動産業者データベースにあえて公開しなかったり、他の不動産業者からの問い合わせに「もう買主が見つかっている」とウソの情報を伝えたりします。そうすることで、自社で買主と売主の両方と契約しようとするのです。
さらに問題なのは、囲い込みのために不動産の売却価格を多少値下げすることがあることです。不動産会社からすれば片手仲介よりも、値段を下げてでも両手仲介を行う方が儲かります。その場合、値下げした分、相場よりも取引価格が安くなり、売主が損をしてしまう可能性があります。もちろんすべての大手会社が囲い込みを行っているわけではありませんが、囲い込みを行っているのは大きな会社が多いため、注意しましょう。
地元の不動産会社は大手の不動産会社と比べ、宣伝力や広告力が劣っているといえるでしょう。不動産購入希望者の多くはネットで不動産情報サイトにアクセスします。これらの不動産情報サイトはネット上での物件探しの起点となるようなサイトで、さまざまな不動産会社が取り扱っている物件情報が集約されています。
しかし地元の小さな不動産会社は、そういったサイトに物件情報を登録することにハードルがあるようです。なぜなら、サイトに物件を掲載するための掲載料が高く設定されているからです。不動産情報サイトは掲載物件数が多いほどサイトの価値が高くなるため、不動産情報をより多く掲載してもらえるように大手不動産会社に対しては不動産1件当たりの掲載料を安く設定しています。
しかし一方で中小不動産会社に対しては高い掲載料を請求しているのです。そのため、不動産情報サイトに載せられる大手不動産会社と比べると中小不動産会社はどうしても敵いません。中小不動産会社が不動産情報をネットに挙げようとすると自社サイトのみでの公開となることも多く、ほかはチラシを使った紙媒体でしか広告を打てないことも多いようです。
さて、ここまで大手不動産会社と中小不動産会社のメリット・デメリットを見てきました。これらを踏まえて、大手と地元どちらの不動産会社に仲介を依頼すべきか解説します。
大手不動産会社がおすすめなのは、売却予定物件が築浅物件であったり、都市部や駅近などの立地条件がよかったりする場合です。築浅物件や人気地域にある物件は一定の需要があるため、宣伝力の強い大手不動産会社に仲介を依頼することで多くの人の目に触れ、その分早く買い手が見つかる可能性が高まります。
地元不動産会社がおすすめの人は、売却予定物件の築年数が経過していたり、物件自体が郊外や地方にある人です。とくに大手不動産会社の店舗が物件の近くにない場合には、中小不動産会社が適しています。地域密着型の中小不動産会社は物件の魅力だけでなく、その物件の周辺環境などのアピールポイントを押さえてくれるため、郊外では大手不動産会社よりも強みがあります。