日影規制が制定された背景として、1970年代に入ってマンションなどの高層建物が次々建築されるようになり、日照阻害の問題がクローズアップされ、日照権の訴訟が頻発したことがあります。
5−3h / 4m
こちらは、日照時間が1年で一番短い、冬至日の午前8時から午後4時(北海道では午前9時から午後3時)までの間に、敷地境界線から5m〜10mまでの範囲は5時間、10m超の範囲は3時間以内であれば、日影がかかってもよい制限時間であることを意味しています。
また、4mというのは、測定した地面からの高さを示します。4mというのは、およそ住宅の2階の窓の中心部分に相当します。これは、地面にできる日影の影響ではなく、建物の中に居る人に光が入るかどうかを基準としているためです。基準となる高さは4mと決まっているわけではなく、2階建ての一戸建ての高さ、あるいは住宅の3階の窓の中心部分に相当する高さである6.5mとされる場合もあり、各自治体の地域によってそれぞれ定められています。
なお、都市計画区域内のうち第一種および第二種低層住居専用地域、および用途地域の指定のない区域で、軒の高さが7mを超える建築物または地階を除く階数が3以上の建築物では、測定高は、隣の建物の1階の窓の高さである1.5mと定められています。
このように日影規制は【日影規制◯ー◯h/測定面の高さ◯m】で表記されます。測定面の高さが低く、日影を生じさせる時間が短い区域ほど規制が厳しくなり、高い建物を建てることができません。
同じ敷地に2つ以上の建築物がある場合は、1つの建築物とみなして規制を適用され、建物が異なる用途区域にまたがる場合で、どちらかに日影規制がかかる場合は建物全体に適用されます。
日影規制は厳しそうにみえますが、5m以内にある隣地の日照は考慮されません。また、制限を受ける建築物は、軒の高さが7mを超える建築物または地階を除く階数が3以上の建築物のため、一般的な2階建ての一戸建ては規制されない場合がほとんどです。