不動産(土地)の生前贈与で贈与税がかかる?節税方法を解説

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2022年07月09日

不動産(土地)の生前贈与で贈与税がかかる?節税方法を解説

不動産(土地)の生前贈与を受けると、贈与税がかかります。贈与税は個人から年110万円以上の財産の贈与を受けたときに課される税金です。本記事では、不動産/土地の生前贈与でかかる贈与税を抑える方法を紹介するとともに、生前贈与する際の注意点について紹介します。

不動産(土地)の生前贈与で贈与税はどうなる?

不動産(土地)の生前贈与を受けると贈与税が発生します。贈与税は、相続税を免れるために財産を生前贈与することを防ぐ役割をするものです。相続税を補完する目的の税金であるため、相続税法で規定されています。贈与税には110万円の基礎控除額があり、それを超える金額に課税されます。

ここでは、贈与税とは何かを説明するとともに、生前贈与で贈与税が発生する流れについて説明します。

贈与税とは

贈与税とは、個人から不動産などの財産を贈与されたときにかかる税金です。1年間に贈与を受けた財産の合計金額から基礎控除額の110万円を差し引き、税率を掛けて計算します。

贈与税の税率には「特例税率」と「一般税率」があり、特例税率は一般税率よりも優遇されています。特例税率が適用されるのは直系尊属(祖父母や父母など)からその年の1月1日において成人である直系卑属(子や孫など)への贈与の場合で、一般税率が適用されるのは特例税率が適用されない場合です。

どちらの税率も財産の価格が高いほど高くなります。特例税率は財産が200万円以下の10%から4,500万円超えの55%まで、一般税率は200万円以下の10%から3,000万円超えの55%まで、それぞれ8段階に定められています。

贈与税が発生するケース

贈与税は生前贈与だけでなく、たとえば以下のような場合にも発生します。

  • 他人の財産の名義を自分の名義に変更してもらったとき
  • 個人から時価よりもかなり安い対価で財産を譲り受けたとき
  • 財産の共有持分を変更して自分の持分が増加したとき

生前贈与で贈与税が発生する流れ

不動産(土地)を生前贈与する場合、まず贈与契約書を作成して登記名義の変更申請を行います。 土地の価格が基礎控除額の110万円を超える場合、贈与税の支払いが必要です(その年にその土地以外の財産の贈与を個人から受けている場合は、その財産とその土地の価格の合計額が110万円を超える場合に贈与税の申告納付が必要です)。

贈与税は土地の評価額を出し、税率をかけて算出します。土地の評価額とは、路線価方式または倍率方式のいずれかで計算された数字です。

例えば土地の評価額が1,000万円の土地を直系尊属 から生前贈与された場合、計算は以下の通りです(速算表を使って計算します)。

1,000万円-基礎控除110万円=890万円

890万円×税率30%-速算表上の控除額90万円=177万円

贈与税は翌年の確定申告の時期(2月1日〜3月15日)に贈与税申告をしなければなりません。

生前贈与による贈与税と相続税の違い

生前贈与による贈与税と相続税は、財産を譲り受けて発生するという点で同じです。しかし、生前贈与は財産の贈与(贈与者と受贈者の合意)で発生するのに対し、相続税は財産の所有者の死亡によって財産を相続または遺贈により取得することで発生する点が異なります。

生前贈与の贈与税は110万円まで非課税です。例えば年間110万円の贈与を10年間受ければ、1,100万円を課税の対象から除外できることになります。なお、贈与税は「現金をもらったとき」ではなく「財産(権利を含みます)をもらったとき」に課税されるため、「向こう10年の間毎年110万円をもらう権利」を取得したと判断されると、「110万円」ではなく「1,100万円」をもらったものとして贈与税が課税される点には注意が必要です。

一方、相続税は基礎控除額として3,000万円 + (600万円×法定相続人の数)の計算式で求めた金額まで課税されません。法定相続人が1人であれば、3,600万円まで非課税です。

税率は贈与税の方が高く設定されており、例えば税率を乗じる金額が4,000万円だった場合の税率は以下の通りです。

  • 贈与税(特例税率の場合):税率50%、速算表上の控除額415万円
  • 相続税:税率20%、速算表上の控除額200万円

相続税は基礎控除の額が大きい上に、税率も低くなっています。生前贈与よりも相続税の方が有利といえるでしょう。現金など分割して贈与できる財産は生前贈与で節税できますが、土地を分割しないで贈与する場合、生前贈与では税金が高くなります。

1億円の土地を生前贈与した場合と相続した場合の違いを見てみましょう(いずれも贈与または遺贈もしくは相続により取得した財産は当該土地のみとし、各種特例の適用は受けないものとします)。

・生前贈与(特例税率)の場合

(1億円−基礎控除額110万円)×税率55%−速算表上の控除額640万円=4,799万5,000円

・相続税の場合

(1億円−基礎控除額3,600万円)×税率30%−速算表上の控除額700万円=1,200万円

ただし、土地は相続後に価値が上がる場合もあり、生前贈与をした方が節税になるケースもあります。生前贈与は好きな時期に贈与できるというメリットがあり、都心部の土地など将来値上がりすると予想される場合、生前贈与が向いている場合もあるでしょう。

贈与税を抑える方法

生前贈与で少しでも税金を抑えたい場合、いくつかの方法があります。暦年課税の方法で毎年110万円以下の贈与をする、配偶者に贈与する場合に控除が受けられる「おしどり贈与」を利用するなどの方法です。具体的に見ていきましょう。

おしどり贈与

婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、居住用不動産もしくはそれを取得するための金銭の贈与が行われた場合、2,000万円まで非課税を受けられる「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」、通称「おしどり贈与」という特例があります。

この特例は基礎控除額との併用が可能ですので、この特例の適用を受けることによって最大で2,110万円までの財産の贈与を無税で受けることができます。なお、同じ配偶者からの贈与については一生に一度しかこの特例の適用を受けることができない点はご注意ください。

相続時精算課税制度

贈与税の課税方式には暦年課税のほかに相続時精算課税という方法があります。60歳以上の父母や祖父母から20歳以上(2022年4月1日以降は18歳以上) の子や孫に贈与を行う場合に利用できるもので、2,500万円までの特別控除が受けられる制度です。

この制度の適用を受けると目先の贈与税額を減少させることはできますが、非課税となるわけではない点に注意が必要です。相続時精算課税制度の適用を受けた場合は、贈与者が死亡したときに相続時精算課税制度対象財産と相続または遺贈により取得した財産の合計額に対して相続税が課税されます(相続の際に税額が「精算」されるため、「相続時精算課税制度」という名称がつけられています)。

また、相続時精算課税に係る贈与税額を計算する際には、110万円の基礎控除額を使うことができない点にも注意が必要です。

生前贈与で注意したいこと

生前贈与では、いくつか注意したいことがあります。生前贈与をした時期によっては相続税の計算に含まれる場合があるという点です。また、相続税では一定の要件を満たす宅地は土地評価額を減額できる特例がありますが、生前贈与ではそれが適用されません。

それぞれ具体的に見ていきましょう。

相続開始前3年以内は相続財産に加算される

暦年課税の場合、相続が発生する前の3年以内に贈与した土地は相続財産に加算されます。基礎控除額の範囲内で生前贈与した場合でも、その後3年以内に相続が発生した場合は相続財産に含まれるため、それに対する相続税を支払わなければなりません。

小規模宅地等の特例が使えない

小規模な宅地の場合、一定の要件を満たしていれば土地の評価額を最大で80%減額できます。この特例の適用を受けることができれば税金を大幅に減額できますが、この特例は「相続または遺贈」によって取得した宅地にのみ適用されるため、「贈与」によって取得した場合は適用対象外です。よって、相続時精算課税制度の適用を受けたものであっても、生前贈与を受けた場合は適用されません。

節税のために生前贈与を利用したはずが、高い相続税を払う結果になる場合もあるため、十分注意しなければなりません。

不動産/土地の生前贈与は節税を考えよう

不動産/土地の生前贈与には贈与税がかかります。暦年課税を利用すれば、年間110万円まで課税されません。また、贈与税を節税するには、土地の分割贈与やおしどり贈与などの方法があります。どの方法がお得になるのか、よく検討しながら生前贈与を行いましょう。

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